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■展示風景
第10回 絵画と木工 二人展
第9回 絵画と木工 二人展
阿波連 永子
世界の旅
感動の一瞬をスケッチ

第8回 絵画と木工 二人展
絵陶木三人展
阿波連 永子
『1才の孫達と100才の父』
スケッチ展

阿波連 永子(絵画)
渡辺 徹夫(木工)二人展

阿波連 永子 絵画展
同時展示渡辺徹夫木工作品

第7回 絵画と木工 二人展
第6回 絵画と木工 二人展
第5回 絵画と木工 二人展
「木の匠染めの匠展」
第4回 絵画と木工二人展
第3回 絵画と木工 二人展
2006年 永源寺ものづくり展
絵画と木工 二人展
永源寺ものづくり展
オープン記念展示会


■阿波連永子略歴

 沖縄から大阪へ
 浦添市美術館
 滋賀県立美術館
 ニューヨーク
 ドイツ・オーストリア・スイス
 アフリカ タンザニア
 中国
 イタリア
 アフリカ ケニヤ
 インド
 アフリカ タンザニア
 エジプト アレキサンドリア
 東北夏まつりの旅
 南米
 ふるさと沖縄
 思い出のニューヨーク

■渡辺徹夫略歴
 椰子の木
 檪野寺のイチイ
 レインスティック
 積木
 栃の万能テーブル
 島屋展を終えて
 「旅立ちの日」連作から

■巨樹探訪の旅
 『縄文杉』
 『青森県のイチョウ』
 『石徹白の大杉』
 『夜叉ヶ池』
 『ふるさとのブナの森』

 


■ギャラリー案内図

■ 阿波連永子世界スケッチの旅 思い出のニューヨーク

 

 1989年7月、私を乗せて、飛行機は太平洋を渡り、アメリカ大陸を横断し、何年もの間夢に見続けた、あこがれの地ニューヨークに着きました。
 お金もなく、英語も話せず、頼れる友人もなく、ないないづくめの、初めての海外旅行のスタートでした。細い細い糸のようなつながりの、友人のそのまた友人による紹介先のハウツデールのジュディ宅に着いた時は、長旅の疲れよりも、本当にやってきたんだという安心感と感激で、うれしさがこみあげてきました。
 ハウツデールは高級住宅街です。ジュディ宅は千坪もの敷地に、たくさんの樹木が繁り、何匹ものリスが遊びまわる森の中の、しょうしゃな館という、とても素敵なところでした。そこにホームステイできることはたいへんラッキーだなあと思いました。
 ジュディは私と同年輩で、日本人と結婚しているのですが、離婚寸前で、すでに別居しており、一人住まいでした。私を受け入れてくれたのは話し相手にする目的もあったようです。私は英語はまったくダメですが、ジュディはきれいな日本語を話すので、二人の会話にはまったく支障はなく、すぐに友達になりました。
 ハウツデールからマンハッタンのグランドセントラルターミナルステーションまで電車で30分です。そこからその日の目的地迄は歩くか、地下鉄か、バスに乗って移動するのですが、ジュディから地下鉄は危険だから乗るなと聞いていましたが、私は地下鉄もバスも利用しました。
 こうして私は1ヶ月の間、ほぼ毎日マンハッタンを歩き回り、美術館を観たり、ウィンドウショッピングや広場でのミュージシャン達のパフォーマンスを楽しんだり、摩天楼や異国の人々をスケッチしたりしました。特に美術館にはよく行きました。私が強く心をひかれ、私の画風にも大きな影響を与え続けていたウィレム・デ・クーニングの絵を見るために、ニューヨーク近代美術館には胸をワクワクさせて入りました。ピカソの「アビニョンの娘達」の絵には感動しました。ジャクソン・ポロックのアクションペインティングの作品にも、さすがだなと感じました。しかしあこがれのデ・クーニングの絵の前に立って見ると絵の具のマチエールと筆のうごきはスゴイのだが色の美しさには期待していただけに、濁っていたのにはガックリきました。
 グッゲンハイム美術館のマークロスコやパウル・クレーの絵は私の心を酔わせてくれましたし、メトロポリタン美術館では、エジプトの古代文化財やアフリカの彫刻や仮面等に魅せられました。まさに圧倒されるような、存在感と、オーラを発しているような、見れば見るほど引きつけられる魔力のような表現力豊かな形を見せつけられて、美とは何か、表現とは何かを考えさせられました。私がニューヨークから日本に帰った、その日からニューヨークシリーズが始まることになるのですが、それは、私がニューヨークで出会った異国の人々、特に黒人の魅力と、メトロポリタン美術館の作品群の影響が非常に大きかったのです。
 ジュディの友人の一人に、デビットという大金持のユダヤ人の息子で、とてもハンサムな23才の好青年がいるのですが、そのデビットが私をエスコートして、一日ニューヨークを案内してくれることになりました。ニューヨークのシンボルであるツインタワーの最上階のレストランで、ワインで乾杯のあとニューヨークの街を見下ろしながら、私はデビットをサラサラとスケッチをし、今日のエスコートのお礼にと差しあげました。彼はとてもよろこんでくれました。そして二人して、ワインに酔って、少しフラフラしながら、地上四百メートルの最上階から階段を歩いて降り始めました。果てしなく続く階段でしたが、若いデビットに負けずに私もまだまだ若いのだと、半分意地になって、ついに1階迄降りてしまったのでした。少し足に疲労感はありましたが、下から見上げると、よくもあんな高い所から降りれたものだと感心するばかりです。デビットも一度あの上から歩いて降りてみたかった、降りれて最高の気分だと言って笑っていました。デビットと二人でニューヨークの街をさまようように、あてもなく歩きました。異国での、若い王子様との夢のようなデイトの最後のコースはブロードウェイでキャッツを観ることでした。私がブロードウェイでキャッツを観ることになるなんて想像すらできなかったことです。まして若き王子様と。私は英語がわからないので、キャッツたちが何を言っているのか、当然まったく分かりません。ですが、舞台の上での流れるような動きや、声の響きで、舞台の魅力は十分に感じることができました。私もデビットも舞台に熱中していたのですが、私は突然、時計を見ました。もうすぐ12時です。キャッツの舞台の終了は3時です。私は迷い、悩みました。キャッツを最後迄観たいけれど、それでは帰る電車がありません。始発電車迄デビットと二人で過さなければならないのです。私は意を決し、最後迄観たいというデビットを説得して、最終電車に乗りました。
 ジュディの家にルーマニアから脱出して来た母子がホームステイを始めました。母親は物理学者で、御主人も同じ物理学者です。仕事の関係上、政府から24時間の監視を受けており、金銭的には不自由はないのですが、人間的には、まったく自由はなく、息子の病気療養の名目で、夫を残し、母と子でアメリカへ脱出してきたのです。御主人は半年後にアメリカへ脱出して来る計画だそうです。(数年後にジュディに聞いたのですが、結局御主人はアメリカには来なかったそうで、便りでは殺されたらしいとのことでした。)息子のアンディは、とても賢い子で、ジュディのコンピュータを使って遊んでいました。私には空手をおしえてくれというので、まねごとの形をすると、それをまねて、ニンジャ、ニンジャとおおよろこびでした。

 

 


■ギャラリー アカショウビン
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